ベータグルカン健康食品研究序説
健康食品に関する論文の本当の評価
「学会に発表された」「医学誌に掲載された」と聞くと、それだけで製品の効果効能を多くの研究者が認めたように錯覚させられる。学識と権威ある組織機関が製品やその実験と効果成果を認めたように感じるが、実際のところは発表自体には価値は無い。実のところは学会も医学誌も、レベルの差はあれど発表・掲載だけであれば容易なのだ。
権威ある本格的な学会で発表することは本当に価値のある新発見や貴重な研究成果でなければ、事前審査で落ちることもある。しかし、非常に小さな弱者連合的な色彩の学会も多いのが実態で、そのような学会では発表するもしないも、会員の研究者の独善による自由だ。
「学会」は複数の研究者が学会員として集まれば、簡単に立ち上げることができる。民間の任意団体の一種なので、登記や行政機関の認証も不要、参加資格は自由に設定が可能なのだ。極端な場合には、学位や経歴が必要無い場合も多いのだ。多くの宣伝用学会は、お飾りとして名誉教授が名義貸しをしているが。
そのような看板だけの学会への発表や報告には、研究の内容よりも広告宣伝用の媒体としての存在意義の方が大きく、特定企業の御用学会化しているものも少なくはない。
通常、一般人は発表された研究論文の内容を吟味する能力も時間も無い。そこでできる最低限は、エビデンスとされている論文が歴史と権威のある学会への発表なのか、商用目的の浅ましい"学会"への発表かを見極めることだ。この違いは大変に大きいのだ。
最先端の現役研究者が活躍する大学会へ発表される論文は評価に値することが多いが、特定の企業のお抱えの小さな御用学会へ投稿される研究論文は、宣伝広告レベルに内容が乏しいことは想像に易い。企業の広告資金で、小規模のご都合主義的な"実験"の示す結果は、実験前から効果成果が約束された広告以外の何モノでもない。その背景が見え隠れするような論文をエビデンスとする矛盾は避けるべき選択と言えよう。
[an error occurred while processing this directive]残念なことに日本では、健康食品の素材メーカーからの依頼と資金で実施されることの多い大学や研究所での実証実験は、研究費のための研究と言わざるをえない。つまりは、大学の先生の資金集めのための協力、名義貸しでしかない。そのため、医学部、薬学部の現役研究者や教授が前面に出ることはほぼ皆無で、この分野での"活躍"は農学部や食品関連の研究者に限定されている。