ベータグルカン健康食品研究序説
健康食品・サプリメント論文の研究背景と資金源
ここで、教授先生の研究と推薦の背景を紐解いてみよう。
まず、研究されている学部に目を向けると医学部や薬学部で研究されていることはまず無い。医学部が協力していることはあっても、治験する患者の斡旋以上の手を貸すことは少ない。薬学部に至っては、新しい物質の発見研究を主眼としているために、健康食品の研究をすることは皆無だ。医学部、薬学部の現役研究者にとっては、薬品会社との新薬開発が主務であり、全く新しい成分の発見と臨床が唯一にして最大の目標である。 健康食品やサプリメントに含まれている成分は、ベータグルカンやフコイダンのように殆ど既知の成分である。だから、医学部薬学部の現役研究者の研究意欲を刺激する対象にはなり得ないのだ。
成分が解明されている食品を研究対象したところで、既に海草ならフコイダン、キノコならベータグルカンetcと成分が特定されているため、新たなる発見が無いことは、研究する意味が無いのが最大の原因だろう。
しかし、地方の特産品の食材や加工品の普及・販売を目的としている研究者は、意欲がが少し違う。食品系や農学系の研究者は、効果や効率よりも自身の関与する産品から得られた成分に効能が有るか無いかだけを重要視してしまう傾向が強い。 既存の商品との比較では量や効率、純度やコストが見劣りしていても、効果のある成分が含まれるというだけで、その産品は地方一押しの特産品、優秀な健康食品にまで飛躍できるからだ。この分野では経済性や効率性よりも話題性が最も重要な要素なのだ。 低純度品に位置付けられる黒酵母ベータグルカンが農学部で研究されているのはこのような背景がある。他方、珍しいキノコに関する宣伝研究が、生活科学や食品栄養学関係の学部での研究報告が多いのも同様の背景事情なのだ。日本のイビツな研究費制度に原因があるのだろう。
海外では7,000件に迫りそうな研究対象としても評価の高い「パン酵母ベータグルカン」に関する研究が日本国内では少ないのは上記のような背景が原因。 海外の多くの研究機関では、研究者の自主性が尊重され、研究費も比較的潤沢に自由度が高い。そのため、最も効率の良い「パン酵母ベータグルカン」の研究に、医学部、薬学部の研究者が集中するのだ。